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「オクシタニア」佐藤賢一著 [本、雑誌]

いや、読み終わってしばらく経っています。
というのも、この本は、ちょと読むのに難航し、読み終わってからも気持ちを整理するのに時間がかかったのでした。

佐藤賢一さんの、今まで読んだ本は、破天荒な主人公に翻弄されながらついて行く感じのが多くて、その魅力に引っ張られていっていました。

「オクシタニア」は、群像劇みたいで、誰が主人公なのか、感情移入が難しかったです。
それぞれの登場人物の絡みが動き出すまでが、とりあえず読まなくちゃ、という気持ちでした。

ちょっとヒロインも好感を持ち難く、時代も、地域も、今ひとつ親近感が持てないんだけど、すごーくココロに引っかかる作品でした。
あっさり読めなかった分、覚えているかも。
タグ:佐藤賢一
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フランス中世史のおさらい [西洋史]

さらに佐藤賢一著「傭兵ピエール」を読んだ。

これは、ジャンヌ・ダルクを見守り続けた貴族の私生児にして傭兵の頭ピエールのお話。
なので、王様は、1429年ランスで戴冠したシャルル7世。
いくじなし的印象があったんだけど、失礼かな(爆)?
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ここがランスの大聖堂。
パリから北東にあるシャンパーニュ地方の都市です。
2002年訪れました。

フランク王国クローヴィスが、王妃にならってキリスト教に改宗し、王となったところです。
クローヴィスの像が中央の高いところにあります。おかっぱ頭の人物なのですが画像からは解らないと思われ。

歴代フランス王は、ここで戴冠することによって王とみなされていて、ここで戴冠するまでシャルル7世は「王太子」とされていたのでした。
何がすごいって、ここで秘蹟を受けることによって、王は神がかりな力を授かるとされていたのでした。まあ、王家とか皇室って、神がかっていなくちゃいけない存在なんでしょう。

なので、先日読んだ「王妃の離婚」に出てくるのは、1499年の離婚劇だから、もっと後の話ですな。
ここに出る王は、ルイ11世の娘婿のくせに、王妃を離婚して、アンヌ・ド・ブルターニュと再婚したルイ12世。

この後の王が、フランソワ1世でその前に読んだ「カルチェ・ラタン」に登場してくるわけだ。

もうちょっと年代順に読んでおけばよかったなあ。

今日、図書館で借りてきたのが、
「双頭の鷲」と「オクシタニア」。

双頭の鷲

双頭の鷲

  • 作者: 佐藤 賢一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/01
  • メディア: 単行本


「双頭の鷲」は、デュ・ゲクランの生涯とあるから、
13世紀南フランスが舞台とあるから「オクシタニア」から手をつけてみます。

オクシタニア

オクシタニア

  • 作者: 佐藤 賢一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/07
  • メディア: 単行本



今日借りてきた本を含め、佐藤賢一さんの著作は、読んだ順に、
「英仏百年戦争」
「ジャンヌ・ダルクまたはロメ」
「王妃の離婚」
「カルチェ・ラタン」
「傭兵ピエール」
「オクシタニア」
「双頭の鷲」
となります。

かなり中世ヨーロッパに詳しくなりそうだ。
ま、すぐ抜けていくんだけど…。

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「カルチェ・ラタン」佐藤賢一著 [本、雑誌]

続いては、軽めのミステリ仕立てになった「カルチェ・ラタン」を読みました。

カルチェ・ラタン (集英社文庫)

カルチェ・ラタン (集英社文庫)

  • 作者: 佐藤 賢一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/08
  • メディア: 文庫


文庫の方を載せてみました。
図書館で借りたのは、ハードカバーです。

以前大好きだったシリーズで、イギリスを舞台にしたカドフェル物がありました。
こっちは、中世の修道士が主人公の歴史物風ミステリで、「薔薇の名前」の映画を観た後だったので、主人公がショーン・コネリーに変換されちゃったのでした。

この小説は、時期的に、近いものがあって、まあ、宗教に関わりの深いけど生粋の宗教人でない登場人物が出てきます。
中世の、資料から膨らませた小説というのはリアルなようでいて、作者の力量で面白く下世話にできたり、読みづらいまでに堅くできたりするんでしょうね。いや、どっちの作者が力があるとかないとかではなく、中世の資料って、後の権力者にああせい、こうせい言われて曲げたりしていそうじゃないですか。でも、どこかには歴史的な事実もあるでしょうし。そこをよくここまで「解いて」くれたなあと、どっちの作者にも思うわけです。

この小説は、フランソワ一世が出てくるので、ダヴィンチの時代まで進んでいるんで、かなりフランスも中央集権が進んできている頃じゃないかと思います。

商人が力をつけてきて、宗教も論争が起きてきて、時代の過渡期の勢いとか、一気に読ませる面白さがありました。

次は、またちょっと時代を遡って「傭兵ピエール」にいこうと思います。
ジャンヌ・ダルク物なので、また、百年戦争に戻ります。

タグ:佐藤賢一
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「ジャンヌ・ダルクまたはロメ」佐藤賢一著 [本、雑誌]

これは、実に面白い短編小説集でした。
「ジャンヌ・ダルクまたはロメ」というタイトルも「?」という好奇心を刺激するものだし、ジャンヌ・ダルクの聖性というのがどこまで信じられるのか、半ば疑問に思っていたので(伝説としての脚色か?)、小説であるとしても、なるほどねーそうかもねーという雰囲気が強かったです。
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ジャンヌ・ダルクに所縁のあるランスの大聖堂にも行ったし、パリには、金色のジャンヌ像がルーヴルの近くにあるし、どこまで伝説でどこからが実像なのか、気になっていました。

ドン・レミの村の、羊飼いの少女が啓示を受けて、百年戦争で敗色の濃かったフランス軍を勝利に導いた、なんてねえ。
村の娘が、軍馬を乗りこなせるか?
村の娘が、国王にものおじせず物言いできるか?

なので、ジャンヌ・ダルクに関しては、いろんな小説があるし、映画化もされている。
神の声、天使の声が聞こえる、というのは、一種精神的に問題がある場合もあるけれど、彼女を利用して、彼女がキーワードになって大国が大きく動いたのは事実でしょう。

もっとリアリティのある小説が出ないかなあ。
しかも、短いのがいい(殴)。

「王妃の離婚」は、直木賞作。
読み始めたのだけど、これも面白いです。
キリスト教では、離婚ってできないことになっているんだよね。
取り消しはあるようだけど。

なかなか旅行には出られないから、お勉強しとくよ。
わたしのように図書館の本はやだわー。買いたいのー、という方は、こちらからどぞ。
直木賞作品である「王妃の離婚」なら、ドラマとして楽しめそうです。
文庫になってた。

王妃の離婚 (集英社文庫)

王妃の離婚 (集英社文庫)

  • 作者: 佐藤 賢一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 文庫



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「英仏百年戦争/佐藤賢一」を読んでいます [西洋史]


英仏百年戦争 (集英社新書)

英仏百年戦争 (集英社新書)

  • 作者: 佐藤 賢一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/11
  • メディア: 新書


この本、目からウロコでした。

百年戦争と三十年戦争、薔薇戦争など、ヨーロッパの中世には、誰が誰だか、どこがどうだか、混乱してしまい、自分が出会った小説の内容だとか、漫画化された作品を読んだとか、そういう影響が大き過ぎて、都度、これは?となります。

この「英仏百年戦争」を読むと、もう初っ端から、この時代にイギリスという国という概念はなく、フランスも国というよりは、諸侯と王家の混成軍であったとあるのですよ。

つまり、初期においてはフランス王家のお家騒動みたいなものが、イングランドも飛び地のように占領していくというもので、登場人物はすべてフランス語を話していたフランス人の戦いであったというのです。

ヘンリー5世くらいから英語を話し、イングランドが国らしくなったようです。

アンリがヘンリーで、ジャンがジョン。リシャールがリチャードで、ウィリアムがギヨーム。同じ人物がフランス語と英語で表記されると更に混乱。ノートに書いて整理したいくらいです。しないけどね。

でもって、わたしがパリでほっとしていた「パッサージュ・ジョフロワ」の「ジョフロワ」という人物まで出てきて、そっかー人名だったのかー、と思ったり。

外様のような存在の各地方をまとめ上げて中央集権国家が出来上がるのが、もうちょっと経ってからのことなんですよね。
佐藤賢一さんの小説をちょっと読んでみようと思います。
このヒトは、歴史家なのか小説家なのか、すごく面白い立ち位置です。
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【フランスみやげ】ポストカード [お土産]

いつでもどこでも、なんだけど、お土産は誰かに宛てたものより、これ面白い!で買ってしまうモノが多い。
今回は、意図してポストカードを買ってみた。
軽いし、かさばらないし、自分では撮れないアングルだったり、撮影禁止のところがあるので。

ニースの旧市街にあるお土産物屋さんで買った南仏イメージのカード。
色合いといい、ラベンダー、ひまわり、オリーブと、明るくはつらつとした大きめのカード。
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これは、100円ショップで買った額に入れて洗面所に飾っています。
何人にか、同じ額に入れてお土産にしました。
額に入れると、ちょっと違うモノになるみたい。

シャガールの美術館で買ったカード。
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あの美術館の自然光の入る展示室が思い出されます。

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マティスは、そこに展示されていない分も買いました。
ちょっとしたご挨拶や、近況報告に使えるかなあと思って。

撮影できなかったコクトー美術館は、タイル代わりの石でできたサラマンダか、蜥蜴、と、よく見かける猫。
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こんな色がついていたとはね。意外とポップなんだ、コクトーは。

精密な植物画のカードは、ナンシーの観光案内所で買いました。
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繊細で、優しい。母が欲しいと言うので、分けてあげた。
お餞別をもらっておいてこんなもんだ。

ガレは、撮影できなかったのでカードを買いました。
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だいたい、素人が機材なくしてガラスや大型家具はちゃんと撮れないんじゃない?と諦めました。

地方のお菓子のカードは、ブルターニュでも買ったことがありました。
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コレクションにしよっかな?

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目次みたいな

【パリからの旅】は、ここから始まっています。
それ以前の準備編は、ここからになります。
※ここは目次なんで、毎回、一番アタマに持ってきています。
コメントは、それぞれの記事にしてくださって結構です。
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【パリそぞろ歩き】七日目:またくるよ、パリ [パリ]

いよいよ帰国だ。
本当なら、23時台に出発する遅い飛行機にしたかったんだけど、日本に着いてから秋田に帰るツテがないので残念ながらAF276便13:15発に乗るべく、午前中のみぷらっぷらパリを歩きます。

まず、先日の美味しいフォーのお店をちゃんとチェックしておくことにする。
パリで食事をする時に、「熱いくらいの塩味のたっぷりした汁もの」ってなかなかない。
それにコースになっていない胃にも、お財布にも優しい食事は、ポイント高いです。

ホテルを出てモンマルトル方面へ向う。
早朝のカフェは、手ぶれだけでなく、滲んだ赤い色がつい立ち寄りたくなる風情だ。
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このメトロの駅を何度か利用した。Cadet(カデ)という駅。
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緩い坂道を登っていくとありました。
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おおーシンプルに「INDOCHINE / インドシーヌ」という店名だったのか。

んじゃ、次はどこへ行こう。
そうだ。85番のバスの終点が左岸のリュクサンブールだったので、市内観光も兼ねてバスに乗ろう。
85番のバスは、クリニャンクールのちょい先から、サクレ・クールの脇を通り、ルーヴルの側面をシャトレの方へ向い、シテ島に入り、サン・ジェルマンとサン・ミッシェルを通り、リュクサンブール公園の脇が終点になっている。ちょっとした観光バス。

今回、痛感したのが切符の磁気が抜けてしまうってことだ。

パリでは、市交通局の管轄で、地下鉄(メトロ)、路線バス共通のチケットをbillet(ビエ)というのですが、10枚まとまるとcarnet(カルネ)と言います。例えば、色が違ったり、ストライプが入ったり、ということはなく、同じ券が10枚ざざーっと出てきます。が、安いのです。日本だと回数券という感覚で、なんらかの区別をするのですが、パリではそんな面倒なことはしません。
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上の券が表、下の磁気の入っていて、使用すると青いスタンプで打刻されます。
この磁気が、お財布の中のなんかと反応するとさっさと抜けてしまい、改札口でエラー音が鳴り、すぐ後ろに並んでいた人にやな顔をされたりします…。こんなに、エラーになったのは今回が初めてでした。が、やっぱり不具合は多いらしい。

なので、次回は、顔写真を持参してNAVIGOという料金先払いのICカードを作ろうと思います。どんどんこっちに移行しているみたいです。市民はね。でも旅行者でも便利には違いないので次回の宿題とします。

で、バスに乗って切符を機械に通したらブブーっとなったワケだ。
で、運転手さんに見せて未使用なんだけど、と困った顔で見せたら、運転手さんが「自分が二度使えないようにするよ」って感じで、隅を破った!そうきたか!それはありなのね!

リュクサンブール公園は、大好きな公園だ。
いろんなスペースがあって彫刻や、花壇がユニーク。
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これはサテュロス?

花壇は、菊が多いけど、日本で見る菊より華やかな印象。

リュクサンブール宮殿と花壇と、ベンチ。あんまり寒くてベンチが冷た過ぎて坐る気も起きない。
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この花の並びが面白い~。
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アップでどうぞ。この濃い紫は「紫蘇」じゃないか?!
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思わず五輪真弓さんを探してしまう。「恋人よ」が聞こえてきそうだ。
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セナ(下院)の前の郵便局で絵葉書を出し、サン・シュルピスの裏手に回り大好きなジェラール・ミュロをウインドウ・ショッピング。
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このケーキは、あちこちで見かけたムラング的というかダコワーズみたいな生地なのかな?なんか卵白を焼いたモノがすごく目に付いた今回の旅行である。
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早足でサンジェルマン大通りを、サンミッシェルに向って歩く。
きっとティーン向けのブティックだろうな。何ともいえないデザインと色合い。
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このFNAC(有名な本屋さんチェーン店。日本で言うところの紀伊国屋書店のような存在。)のドアにあったポスターは、もしかして「おネエMANS」だろうか。ピンクと紫に反応してしまった。
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クリュニュー中世美術館は、貴婦人と一角獣のタピストリがあるステキな美術館。ローマ時代の遺跡をそのまま遺しているのがすごいところだ。
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やっとバス停に着き、ホテルまで戻り、チェックアウト。
泣きたくなるくらいの距離を、重くなった荷物を転がして、ロワシーバス乗り場へ向う。お昼のパリって渋滞しないっけ?夕方は、すごかったよなあ。汗だくで、バスに乗る。

空港に着いてカウンターを探す。
なにやら、人がごちゃついている。その時、日本人の若い女性に「成田、日本、に行かれますか?」と声をかけられた。前日、ベルリンからパリ経由で帰国するのに、ベルリンが濃霧でなかなか離陸できず、やっとここまで着いたはいいが乗り継ぎの便が悪く、空港側のホテルを提供され予定外の一泊をしたのだそうだ。

ヨーロッパは、意外と、天候理由のアクシデントがある。
そして、今度は、空港のカウンターで並んでいたら、避けるようにと言われたのだそうだ。たぶん、よくある、誰のものか解らない荷物があったんだと思う。誰のものか解らない荷物は、危険物と見なされて、一回人払いされてしまう。そうこうしているうちに、解除され、二人で列に並んでチェックイン。成田に着いてから、羽田まで移動するという。わたしと一緒だわ。

機内では、席が離れてしまったのだが、今度は隣の若い女性が初めて日本へ行くというスペインのコだった。三人掛けの真ん中の席で、両側外人で、ちょっとなーと思っていたのだが、少し話すとすごくフレンドリーなコだった。
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機内食を食べて、深夜、カップヌードルの刺激的な匂いに、席を立ち、隣の彼女とずるずるカップラーメンをすすった。

少し早いくらいに成田に着いて、レンタルの携帯電話を返し、エアポートリムジンで羽田へ移動。ベルリンからの彼女と一緒になった。が、彼女の荷物は、ベルリンから一緒に来ていなかった。乗り継ぎのある便で、しかも、変更になったりしているのであり得ることだ。大事なものは預けていないけど、着替えがないなーと言っていた。

そんなこんなで、羽田に着いて、なけなしのマイルを使いラウンジで休憩。顔を洗って、メイクして、身づくろいする。
秋田に帰ると、雨だった。
駐車場でじっと待っていたライフに乗って帰宅。

無事、旅を終えた。
荷物を開けてみて、お土産があまりにもなくて赤面。
とはいえ、買ってきたあれこれを次に紹介したいと思います。

次は、また夜便でパリ経由で、バルセロナとか、やっぱりニースとか、季節がよければ別の地方都市に三泊とパリ二泊くらいの旅をしたいと思うのでした。また、行くよ~。

一回、休み、です(笑)。ではでは。
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【パリからの旅】六日目後半:ナンシー~パリ [アール・ヌーヴォー]

寒いのは、北国生まれで北国育ちだから平気なことは平気なんだけど、せっかくの異国の地で、冷たい雨に降られたり、風に吹かれたり、石造りの道路から底冷えする冷たさを足元から感じる時、もう一ヶ月早く旅立てばよかったと強く切実に思うのだった。

しばしば、見知らぬ町の、見知らぬ小路で、「わたしは、なんでここにいるのだ」と自問し、「そうだ。わたしは、この風景を見るためにここに来たのだ。」と自答していた。

ナンシーは、また、訪れる。願望ではなく、確定の未来である。

駅の反対側は、しっとりとした静かな住宅街で、地図を見ながら歩くのだがとても心もとない。
ただ、時折ガイドに示されたアール・ヌーヴォー様式の建造物にちゃんと出会うと、地図の見方は合っていると安堵するのだった。
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とりあえず標識はあるのだ。行きたい方向かどうかは、よく解っていないんだけど。
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パーツに、アール・ヌーヴォーを感じるのだが、もうちょっと濃くもいいかな?と思ったり。
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ただ、ある角を手前から進むと、どうやら家全体が凝った造りになっているみたいだ。
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うん、こりゃ、濃いわー。
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全体に施されると、ちょっと濃いのかもしれない。
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だって、通りの名前にもなっている「ルイ・マジョレル邸」なのだから。
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彼は、エミール・ガレと共に、アール・ヌーヴォーの家具の作家として名を残している。
マジョレル邸が、ここなのだから、と地図で確認し、次は、ナンシー派美術館を目指す。ここは、ナンシー派のパトロンだったゴルパンの私邸を改装した建物なのだが、撮影は禁止されている。庭から、後ろっぽい感じの館を撮ってみた。
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二階建ての館は、入口に、白鳥の装飾で有名なピアノを置いた部屋があり、随所に、家具やガラス工芸品が置かれている。パリ万博に出品された作品だったのか、よく、図録で見かける「フランスの薔薇」など名品が展示されている。

そうそう、蛾みたいなモチーフのベッドもありました。
この屋敷だからこそ、だろうね。
ちなみに、アール・ヌーヴォーの作品は、ナンシーまでこなくてもパリの装飾美術館にもたくさん展示されています。
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階段のスペースに、立ち枯れた植物がオブジェのように飾られていた。庭にあったこの植物かもしれない。
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こういった植物や虫、小動物、魚などをデフォルメしたり、意外な組み合わせで、何度も手法を変え、付け加えて、作品が作られている。庭の風景を見ては、すべてがモチーフなのかも、と思ったり…。
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思うに、あまり生命力に溢れた季節でないくらいがこれらの作品に近い雰囲気を持っているのかもしれない。
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庭には、「パコと魔法の絵本」のような小さい池や、サンルームのような離れがあった。
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これは、誰かの像だ。誰だっけ?ガレではないはず。
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庭の奥に、お堂のような建物があった。
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中に入るとステンドグラスが綺麗なんだろうなあ。
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お、わたしに気づいたの?睨まないでくり。
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すっかり世紀末に浸った後で、もう一度駅前に向かい、見残していたパリバ(銀行)の建物を見に行く。
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普通に本日も営業中なのです。日銀みたいな感じ?

もう一度、スタニスラス広場へ行ってみる。
何せ、premsという切符は、空いている電車に合わせて設定されているのでまだ時間があるのです。お茶でもすればよいのに、どこに入ろう~と迷ってばかり…。
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なんだか、ガレにしても、この門の装飾にしても、「死」を連想させるのだが、わたしだけ?ちょっとお仏壇っぽいの。

観光局のウインドゥにマカロンの解説がありました。
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こんな風に紙に敷いて焼いたまま販売されているのよ。
こっちが今風の、おされなマカロンですね。
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駅前の、Lefevre-Lemoine(ルフェーヴル ルモワーヌ?)に入ってみた。
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昔ながらのお菓子屋さんといった風情。
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ごっつくて、しっかりしたお菓子がたくさんありました。
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どうしてこんなに可愛いおもちゃみたいな缶とかあるんだろう。
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なんかさ、お饅頭を包んだみたいな包装がとっても地元感があって一番小さい包みのマカロンを買いました。右のレトロな缶には、ベルガモットのキャンディが入っています。これも、ナンシーの名物です。シンプルでいて、ちょっと異国風なベルガモットの香り。何故、この地で柑橘類の香りが根付いたのだろう?南国への憧れ?

そうこうしているうちに、TGVの出発時刻になり、やや混み合った車内に入り、もう真っ暗になった車窓を眺めて、また来なくちゃと思ったのでした。

パリに戻って、17:45。あたりは真っ暗。お昼にたっぷり食べたので、スタバでカフェラテを買い、パッサージュのヴァランタンでキッシュを買ってホテルで夕食。充実した一日でした。

フランスに来て初めて21時過ぎても眠くない。
やっとカラダが慣れた頃に帰国なのだ。
荷造りして、おやすみなさい。
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【パリからの旅】六日目前半:パリ~ナンシー [世界遺産]

今日は、新しくできたTGV(フランスの新幹線)東線に乗ってナンシーへ行く。
かなりのメインイベント。
最初に行きたいと思った頃は、片道4時間くらいかかる列車しかなくて日帰りしようと思ったら往復に取られる時間がもったいなくて却下していた。それが、今回、ほとんど買うことのないガイドブックを買ったら(だいたいネットで済むと思っている)、最新ニュースとして「TGV東線2007年6月開通」というコラムを見つけたのだ。ネットの場合、自分の欲しい情報だけを検索して、その部分をいただく感じなのだが、紙媒体というのは、とりあえず隅っこも読んでみたくなる。そうすると、思わぬ発見があったり。

しかも、SNCFのサイト(フランス国鉄)でpremsという早割みたいなチケットが格安で取れたのだった。
なので緊張しつつ、前日キャッシングできた郵便局のATMで30ユーロ現金を作って東駅へ向う。
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パリには、国鉄のパリ駅というものがない。
山手線の東京と新宿と渋谷と池袋、上野が結ばれていないような感じで、国鉄の駅がある。
東駅は、アルザスやスイス方面の起点になっている。
アミアンに行った北駅は、ベルギーやオランダ方面。また、大昔わたしが乗ったロンドンからフェリーに乗って辿り着く寝台列車も北駅になる。
この他にも、南仏方面はリヨン駅だし、ブルターニュへ行くにはモンパルナス駅。他にもオーステルリッツ駅、サン・ラザール駅がある。
ホームに入線しているTGV。
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内装クリスチャン・ラクロワがデザインしたというオレンジと紫!のシート。中央のベージュの部分に液晶で座席番号が表示されている。
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ナンシーの駅は、アールヌーヴォーの香りがする。奥に、デフォルトのように「PAUL」がある。なぜか「PAUL」があると安心(爆)。
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駅の外観です。寒そうな大気でしょ?寒いんです。
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スタニスラス門をくぐって、まずは観光案内所を目指します。
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何だか違う方に面白そうな建物が。つい寄り道。また、「市」に遭遇。
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うーん、試着できます?
おお、大好きな屋内市場じゃないか。
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この中での画像はちっともピントがきませんでした。
お菓子がすごく多くて、今、どうやらメレンゲ(ムラング)を肉まんくらいの大きさで、いろんなフレーバーで焼いて作るのが流行っているようでした。とにかくデカイ。そして、綺麗なラベンダー色だったりする。

町の角にある薬屋さん。タイルが可愛いです。
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もしかして、スタニスラス広場?
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この世界遺産のスタニスラス広場の一角に観光案内所がありました。画面の右端が事務所です。
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ナンシーは、金沢と姉妹都市のようでちょうどイベントが行われていました。
なんか、ちょと、恥ずかしいというか照れてしまうな。
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ロココの華、スタニスラス大公の趣味が、ギンギラギンではなくお上品に感じられる。
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裏手にある大きな植物園のようなスペース。
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が、そろそろお昼でも取ろうかなあ。
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例えば、わたしが日本で飲食店に勤めていて、一番混雑している時に外国人の観光客がきたらどうだろう?と思うのだ。なので、できるだけ開店の時間くらい、早めに入店している。これ、ちょっと気が小さい?

アール・ヌーヴォーで有名なこの町には、それっぽい建物が点在している。
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ちょっとした建物の一部に残されている名残の美しさがいいなあ。

建物がアール・ヌーヴォー様式をしっかり残している駅前の「EXCELSIOR / エクセルシオール・フロ」へ。
開店くらいの時刻なのでお客さんも少なく、デジカメっても大丈夫そうな雰囲気。
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この席があっという間に満席になったのだ。

入口でヒトリであることを伝え席を作ってもらっている間に、従業員の眼鏡っ娘がわたしの方を見てにこにこしている。席は、用意してもらっているから大丈夫なんだけどなあと思ったら「ジャポネーズ?」と聞くので「そうだ」と答えると「わたし、日本語少しできます。」と日本語で言うのです。

そうか、話したいよね。外国語を本当に外国人と話すって、教えてくれる先生以外なかなかないかもしれない。なので、少し話すと、先に席を用意してくれたお姉さんが「彼女の日本語って通じているの?」みたいなことを聞いてきたので「通じているよ!」と答えて、彼女の実力を認めてあげた。

その後もメニューの説明をたどたどしくしてくれ、日替わり(Menu Garcon)の「プティ・サレ ランティーユ添え」セットにした。ついでに、フランスに来て初めてワインも頼んだ。グラスでグラーヴにした。なかなかいいお値段ざんした。さすがフロだ。
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この肉(仔羊)の厚いこと!そして敷き詰めらたランティーユ(レンズ豆)の多いこと!いくら食べてもなくならないのでは?と思うくらいだ。なので、彼女に来てもらい、もう食べられないのでさげてもらうことにした。こういうのって、フランス語で頼みにくいので、助かりました。
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デザートも大きかったらどうしよう?と思っていたら、すんごい可愛い一皿(Cafe Gourmand)だった。
ムースにイチゴのソース。小さい目のシュー・ア・ラ・クレーム。ちょっと温かいガトー・ショコラとエスプレッソ。大変欲張りなコースでした。

お食事は日替わりで、18.50ユーロ。ワインは、7.50ユーロ。
フロならこんなもんだな。

腹ごしらえもできたので、いよいよ駅の反対側にあるナンシー派美術館(Musee de l'Ecole de Nancy)を目指す。若干地図アバウトなんだけど、大丈夫かなあ…。しかし、寒いぞ…。さて、出発~!


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